スカート
概要
スカート(Skat)はドイツで最も人気のあるトランプゲームで、ドイツ国民ゲームとも呼ばれています。1810年代にテューリンゲン地方で生まれ、現在では国際スカート裁判所(International Skat Court)が公式ルールを管理しています。3人専用のゲームで、競り(ビッド)によってデクレアラー(ソロプレイヤー)を決め、1対2の構図で対戦します。
32枚のデッキを使用し、カードにはそれぞれ得点(カードポイント)が設定されています。合計120ポイントのうち61ポイント以上を獲得すればデクレアラーの勝利です。
基本ルール
使用カード
32枚デッキ(各スートの7以上)を使用します。ドイツではフレンチスート(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)またはジャーマンスート(葉、ハート、鈴、どんぐり)のカードが使われます。
カードポイント
各カードには以下のポイントが設定されています。
- A:11ポイント
- 10:10ポイント
- K:4ポイント
- Q:3ポイント
- J:2ポイント
- 9:0ポイント
- 8:0ポイント
- 7:0ポイント
全カードの合計は120ポイントです(各スート30ポイント × 4スート)。
配り方
ディーラーは3-スカート-4-3の順に配ります。
- 各プレイヤーに3枚ずつ
- テーブル中央に2枚伏せる(スカート)
- 各プレイヤーに4枚ずつ
- 各プレイヤーに3枚ずつ
各プレイヤーの手札は10枚、スカートは2枚です。
カードの強さ(スートゲーム時)
スートゲーム(切り札あり)では、4枚のJは常に切り札の最上位となります。
切り札の強さ:クラブJ > スペードJ > ハートJ > ダイヤJ > 切り札A > 切り札10 > 切り札K > 切り札Q > 切り札9 > 切り札8 > 切り札7
切り札以外のスートでは:A > 10 > K > Q > 9 > 8 > 7
ビッド(競り)
競りの進行
スカートの競りは独特の3段階で行われます。座席位置に基づいて役割が決まります。
- フォアハンド(ディーラーの左隣):聞く側
- ミドルハンド(ディーラーの右隣):最初に値を言う側
- ヒンターハンド(ディーラー):後から参加
まずミドルハンドがフォアハンドに対してビッド値を提示します。フォアハンドは「はい(受ける)」または「パス」を宣言します。どちらかがパスするまで続きます。
勝ち残った方とヒンターハンドが同様に競ります。最終的に最も高い値をビッドしたプレイヤーがデクレアラーとなります。全員パスの場合はラウンドを流すか、フォアハンドが強制プレイします(ルールにより異なる)。
ゲームの種類と基本値
デクレアラーは以下のゲーム種類から1つを選びます。
- クラブ(切り札):基本値 12
- スペード(切り札):基本値 11
- ハート(切り札):基本値 10
- ダイヤ(切り札):基本値 9
- グランド(Jのみ切り札):基本値 24
- ヌル(1トリックも取らない):固定値
ゲーム値の計算
スートゲームとグランドのゲーム値は以下の式で計算します。
ゲーム値 = 基本値 ×(乗数)
乗数は「マトゥドール」の連続数 + 1 から始まり、追加の宣言で増加します。
マトゥドールとは、クラブのJから数えて連続して持っている(または持っていない)Jとトランプの枚数です。
例:クラブJ、スペードJを持ち、ハートJを持たない場合、「2枚持ち」で乗数は3(2+1)。
追加乗数(該当する場合に+1ずつ):
- ハンド(スカートを見ない)
- シュナイダー(相手を30点以下に抑える)
- シュナイダー宣言
- シュヴァルツ(相手に1トリックも取らせない)
- シュヴァルツ宣言
- オウベルト(手札公開)
ヌルゲーム
ヌルはミゼール系のゲームで、1トリックも取らないことを目指します。
- ヌル:23点
- ヌル・ハンド:35点
- ヌル・オウベルト:46点
- ヌル・オウベルト・ハンド:59点
ヌルではJに特別な地位はなく、各スートの順位は A > K > Q > J > 10 > 9 > 8 > 7 です。
ゲームの流れ
- ディーラーがカードを配る
- 競りでデクレアラーを決める
- デクレアラーがスカートを取るか選択(ハンドプレイの場合は取らない)
- ゲームの種類を宣言する
- フォアハンドがリードして10トリックを行う
- ゲーム値を計算し、スコアを記録する
スカートの処理
デクレアラーはスカートの2枚を見て手札に加え、不要な2枚を捨てることができます。捨てたカードのポイントはデクレアラーの取得分に加算されます。ハンドプレイを選ぶ場合はスカートを見ません(ゲーム終了後にデクレアラーの取得分に加算)。
トリックの進行
フォアハンドが最初のリードを行います。マストフォローが適用されます。Jは切り札スートに属するため、切り札がリードされた際にフォローとして出します。
スコア計算
デクレアラーの勝敗
デクレアラーは取ったトリックのカードポイント合計で勝敗が決まります。
- 61ポイント以上:勝利
- 31〜60ポイント:敗北
- 30ポイント以下:シュナイダー負け
- 0トリック:シュヴァルツ負け
得点の記録
- 勝利:ゲーム値をプラス
- 敗北:ゲーム値の2倍をマイナス
ビッド値がゲーム値を超えている場合(オーバービッド)、デクレアラーはたとえトリックに勝っても、ビッド値以上の最小ゲーム値の2倍を失います。
戦略・コツ
競りの基準
手札にクラブJがあるかどうかで乗数が大きく変わります。クラブJを持っている場合は強気に、持っていない場合は慎重にビッドしましょう。
目安として、切り札が5枚以上あり、サイドスートにAが1枚以上あれば、スートゲームを検討できます。
グランドの判断
4枚のJのうち3枚以上を持ち、サイドスートにAや10が揃っている場合はグランドが狙えます。グランドは基本値24と高いため、成功すれば大きな得点になります。
ディフェンスの協力
ディフェンダー2人は情報を共有できませんが、プレイから互いの状況を推測します。デクレアラーのボイドスートを攻めてポイントカード(A、10)を確保する戦略が基本です。
スカートの活用
スカートを取る場合、弱いサイドスートのカードを捨ててボイドを作るのが効果的です。これにより切り札で刈り取れるトリックが増えます。
バリエーション
ラムシュ
全員がパスした場合に行われる特殊ゲームです。切り札はグランドと同じ(Jのみ)で、全員が取ったトリックのポイントをマイナスします。最も多くのポイントを取ったプレイヤーが罰点を受けます。
コントラ / レコントラ
ディフェンダーが「コントラ」を宣言すると得失点が2倍になります。デクレアラーは「レコントラ」で応じることができ、さらに2倍(合計4倍)になります。
トーナメントルール
公式トーナメントでは、ビッド最低値18(ダイヤの「2枚無し」)から始まり、特定の値のみビッド可能です。セッション全体でのゲーム値合計で順位を決定します。
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