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ビッグマネー戦略ガイド

シルバーとゴールドで属州を買い続けるビッグマネー戦略の基本から応用まで解説

中級者向け 読了目安: 12分

ビッグマネーとは

ビッグマネーとは、ドミニオンにおける最もシンプルな戦略の一つです。「財宝カードを積み上げ、8コインに届いたら属州を買い続ける」という考え方を核心としており、アクションカードへの依存をほぼゼロに抑えます。銀貨・金貨といった基本財宝だけでコインを産出し、ゲームを通じて安定したペースで属州を取り切ることを目指します。

この戦略の最大の強みは「ブレのなさ」です。複数のアクションカードを組み合わせて毎ターン大量にドローするエンジン戦略と異なり、ビッグマネーはデッキのコンボが崩れることがなく、アタックカードへの耐性も比較的高いのが特徴です。

上級プレイヤーの間では、ビッグマネーはしばしば戦略の「下限」と表現されます。つまり「最低でもこれくらいのペースで属州が取れる」という基準であり、強いエンジンはこのペースを上回って初めて意味を持つという考え方です。初心者がビッグマネーを習得することは、ドミニオンの戦略理解を深める上で非常に重要なステップです。

基本購入優先順位

ビッグマネーの購入判断は非常にシンプルです。毎ターン次の表に従って行動するだけです。

手札コイン 購入先 理由
8以上 属州 最優先。6勝利点を確保する
7 金貨 8コインに届くために必要な財宝
6 金貨 同上。6コインでも金貨を買う
5 状況次第(後述) 銀貨か特定のアクションカード
4 銀貨 安定した財宝を追加する
3 銀貨 3コインでは銀貨が最善
2以下 何も買わない 銅貨は不要。デッキを汚さない

5コイン時の判断について

5コインのタイミングは唯一の悩みどころです。公領を買うべきか、銀貨を買い続けるべきか、それとも特定のアクションカードを取るべきか——この選択はゲームの局面によって変わります。

  • 序盤・中盤:銀貨を優先する。デッキを強化してから勝利点を狙う方が長期的に得
  • 終盤(属州が残り4〜5枚):公領が点差を縮める手段になりうる。相手の動向次第で買う
  • 特定の優れたアクションカード:後述する銀貨テストに合格する場合のみ取る

銀貨テスト

ビッグマネーにおいて、あるアクションカードを採用すべきかどうかを判断する最も重要な指標が「銀貨テスト」です。

「このカードは銀貨より優れているか?」

銀貨はコスト3で2コインを産出する、非常に効率的な財宝カードです。アクションカードを買おうとするとき、そのカードが銀貨と同等以上の経済的価値を持っているかどうかを問います。

銀貨テストに合格するカードの条件

  • 直接的なコイン産出:+2コイン以上を安定して生み出す
  • ドロー効果によるコイン増加:鍛冶屋(+3ドロー)のように、引いたカードの中に財宝が多ければ結果的に大きなコイン増加につながる
  • デッキ圧縮:礼拝堂のようにデッキを薄くするカードは、銀貨を超えた価値を持つ

銀貨テストに不合格なカードの例

  • コインもドローも生まない「村」系カード(ビッグマネーでは使い道がない)
  • 効果が条件付きで安定しないカード
  • 同じコスト帯に銀貨という選択肢がある場合に劣るカード

このテストを意識することで、「なんとなく強そう」という感覚でアクションカードを買い込んでデッキを汚すリスクを避けられます。

スミシービッグマネー

ビッグマネーの中で最も有名かつ強力なバリエーションがスミシービッグマネーです。鍛冶屋はコスト4で+3ドローをもたらすカードであり、銀貨テストに明確に合格しています。

基本方針

  • 鍛冶屋の採用枚数:1〜2枚が理想。3枚以上は「引きすぎ」になりやすく、鍛冶屋がぶつかったときにアクション消費が無駄になる
  • オープン(最初の2ターン):4/4が出た場合は両方に銀貨、5/3が出た場合は5コインターンに鍛冶屋を買い3コインで銀貨、という形が多い
  • 採用のタイミング:鍛冶屋は中盤以降に強さを発揮する。序盤に1枚取れれば十分

なぜスミシーBMが強いか

通常のビッグマネーは5枚ドローのため、財宝が多く並ぶ中盤でも8コインに届かないことが多いです。鍛冶屋を使うと1ターンに8枚のカードを見ることができ、デッキに金貨が3〜4枚入っている状態であれば8コインに届く確率が大幅に上昇します。

簡易計算例:デッキが18枚・金貨4枚・銀貨4枚の場合

ドロー枚数 期待コイン 8コイン到達確率(概算)
5枚(通常) 約5.8コイン 約35%
8枚(鍛冶屋使用) 約8.0コイン 約55%

これだけでも鍛冶屋1枚がいかに大きな差を生むかわかります。

その他のビッグマネーバリエーション

バリエーション 採用カード 特徴
Smithy BM 鍛冶屋 最も安定。初心者にも使いやすい
Library BM 図書館 手札を7枚に整える。5コインのカードなので採用タイミングが難しい
Council Room BM 議事堂 +4ドロー+1購入。相手にもドローを与えるが強力
Laboratory BM 研究所 +2ドロー+1アクション。デッキに複数枚置きやすい
Poacher BM 密猟者 コスト4で+1ドロー+1コイン+1アクション。山が切れてくると強い

マネー密度の概念

ビッグマネー戦略を深く理解するために「マネー密度」という概念を押さえておきましょう。

マネー密度 = デッキ全カードが産出するコインの合計 ÷ デッキの枚数

初期デッキでは銅貨7枚分のコイン7点をデッキ10枚で割った 0.7 がスタート地点です。

目安となるマネー密度

マネー密度 状態 5枚ドロー時の期待コイン
0.7 初期デッキ(銅貨7枚) 3.5コイン
1.0 銀貨を数枚追加した状態 5.0コイン
1.4 銀貨3〜4枚+金貨1〜2枚 7.0コイン
1.6以上 安定した属州購入圏 8.0コイン前後

デッキ圧縮との関係

重要な点として、勝利点カードはコインを産出しないため、マネー密度を下げます。属州を買うたびにデッキの枚数が増え、密度が下がります。これが「終盤に向かうほど手札が弱くなっていく」感覚の原因です。

逆に、礼拝堂で銅貨や屋敷を廃棄するとデッキが薄くなり、密度が上昇します。廃棄できる環境ではビッグマネーも大きく強化されます。

具体的な計算例:銀貨3枚・金貨2枚・銅貨5枚・屋敷3枚・属州1枚の17枚デッキ

産出コイン合計:(3×2) + (2×3) + (5×1) = 6 + 6 + 5 = 17コイン マネー密度:17 ÷ 17 = 1.0

5枚ドローで期待コインは約5.0。属州を買うにはもう少し密度が必要な状態です。

ビッグマネーが有効な状況

すべての王国でビッグマネーが最善とは限りませんが、次の状況ではビッグマネーが特に力を発揮します。

エンジンパーツが揃っていない王国

村系カード(+2アクション)が存在しない、強力なドローカードがない、廃棄カードがなくデッキ圧縮ができない——こうした王国では、エンジンを組もうとしてもパーツが揃わず中途半端なアクション山を作るだけになります。シンプルなビッグマネーの方が素直に強くなります。

ゲームが速く終わる見込みがある場合

エンジンはデッキが完成するまでに時間がかかります。相手がビッグマネー系で高速に属州を取っていたり、3山切れの脅威がある王国では、エンジン構築の時間的余裕がありません。ビッグマネーはターン10〜14前後で属州を取り切れることが多く、この速度感に対抗できるエンジンでなければビッグマネーに軍配が上がります。

アタック環境が弱い場合

呪いをばらまく魔女や、手札を3枚に絞る民兵がいない王国では、ビッグマネーのシンプルさが際立ちます。こうしたアタックがある王国ではエンジン側に防御の余裕がなくなりますが、逆にビッグマネー側も影響を受けます。

対戦相手が多い(3〜4人戦)場合

多人数戦ではゲームが早く終わる傾向があり、エンジン完成前に属州が切れることも珍しくありません。ビッグマネーの安定した購入ペースは多人数戦でも機能します。

ビッグマネーの限界

ビッグマネーは強力ですが、万能ではありません。以下の限界を理解することで、「いつエンジンを選ぶべきか」の判断精度が上がります。

強力なエンジンには負ける

デッキを毎ターン全部ドローし、1ターンに属州を複数枚買えるようなエンジンが完成すると、ビッグマネーでは太刀打ちできません。エンジンの「完成した姿」はビッグマネーを大きく凌駕します。問題はその完成にかかる時間ですが、礼拝堂や研究所、祝祭といった強力なパーツが揃う王国では積極的にエンジンを狙うべきです。

呪い攻撃に弱い

魔女が存在する王国では、相手が呪いをばらまくと自分のデッキに使えないカードが大量に入り込み、マネー密度が一気に下がります。呪いは-1点のため勝利点的にも不利です。魔女がある場合は、堀などのリアクションカードを1枚取るか、自分も魔女を取って呪い合戦に参加するかを検討する必要があります。

ゲームが長引くと不利

ビッグマネーは中盤以降に属州を買うペースが落ちます。デッキに勝利点カードが増えるとマネー密度が下がり、8コインに届きにくくなるためです。一方でエンジン戦略はデッキが完成してからは加速度的に強くなります。ゲームが15ターン以上になるような長期戦では、エンジンが逆転しやすくなります。

3山切れ戦術に対応しにくい

相手が意図的に3つのサプライを枯らしてゲームを終わらせようとする場合、ビッグマネー側は通常1購入しか持っていないため対応が難しいです。市場など+購入のあるカードを持つエンジンの方がこの戦術に対応しやすい場合があります。

まとめ

ビッグマネーはドミニオンにおける戦略の「下限」であり、戦略の基礎を学ぶ上で非常に重要な考え方です。

ビッグマネーのエッセンス

  1. 財宝を積み上げて8コインを目指す
  2. 8コインになったら迷わず属州を買う
  3. カードを購入する際は「銀貨より強いか?」と問う(銀貨テスト)
  4. マネー密度を意識し、無駄なカードでデッキを汚さない
  5. 鍛冶屋など一枚でドローを補える銀貨テスト合格カードを活用する

ビッグマネーを完全に習得することで、「この王国ではビッグマネーが通用するか」「相手のエンジンはビッグマネーに勝てるペースで完成するか」という判断ができるようになります。これがドミニオン戦略理解の出発点です。

エンジン戦略に挑戦する前に、まずはビッグマネーで安定した戦い方を身につけましょう。